「熟睡」と「寝返り」と「枕」
正しい睡眠とは
正しい睡眠は、人間の心とカラダの健康維持には不可欠です。
近年の睡眠研究により、「睡眠状態」こそが心身の健康のカギを握っていることがわかってきています。
現代人はとても健康志向が強く、禁煙やダイエットは勿論のこと、自然食品やサプリメントの摂取に余念がなく、町ではジョギング・サイクリング・ウォーキングと見かけない時がないほどで、スポーツクラブでも人が溢れかえっています。とても感心いたします。
しかし、そうした努力のほとんどは起きている間に行われるもので、覚醒状態における健康づくりばかりを心がけているように感じます。
頑張りを成果に結びつけるためには?
せっかくこれだけ頑張っているのですから、何とか成果に結びつけてほしいと願うものです。
その努力が報われる為には、日中の努力と加えて正しい睡眠をすることなのです。
すでに成果が出ていたとしても、これだけ皆さんの意識が高いわけですから、更なる健康を目指せるものだと確信しているのです。
覚醒と睡眠における心がけはセットなのです。毎日きちんと理想どおりの睡眠をとるとすれば、私たちは長い人生の3分の1を眠って過ごすこととなります。
それにはちゃんと意味があります。
昨今の情報社会だからこそ動物である人間として、もっとシンプルに、基本にかえり、物事の本質的な部分を見つめ直す時に来ているのではないでしょうか?
起床が睡眠を決める!も参考にご覧ください
あなたの睡眠満足度はどのくらい?
5年おきにNHKがおこなっている国民生活時間調査によれば、2015年の日本人の平均睡眠時間は、7時間14分で約4人に1人が「自分は睡眠不足だ」と感じているようです。
しかし、6~7時間という睡眠時間は極端に短いものではないと思います。それでも多くの人たちが「睡眠不足だ」と感じてしまうのはなぜかといえば、睡眠時間の長短だけでなく、質=「熟睡」に問題があるからです。
まず睡眠とは重力に逆らわない状態で静かに過ごす事で、生命維持に必要なさまざまな仕事がなされる時間です。
深い睡眠中(ノンレム)には成長ホルモンが分泌され、子供の身体は成長します。大人の場合は、このホルモンが身体の組織の新陳代謝や再生を促すため、疲労回復をもたらします。
睡眠は免疫とも関連があります。
風邪をひくと眠っても眠ってもまだ寝たいものでしょう。
これは、免疫を担当する白血球のなかにあるサイトカインという成分が、ウィルスの増殖を抑え回復を図るために、深く眠らせるよう働きかけているためです。
また、睡眠中には私たちの脳のなかで、きわめて重要な情報処理がおこなわれています。
日中に体験したこと、運動したこと、学んだ内容を記憶として整理をし、脳に「定着」させ、活用するためにはやはり十分な睡眠が必要なのです。
熟睡が与える影響
「熟睡」はさまざまな形で私たちの心身にポジティブな影響を与えます。
なかでも熟睡がもたらす究極の効果といえば、自律神経の調整でしょう。
自律神経は本人の意志とは関係なく、身体の機能を調整してくれる神経で、交感神経(やる気モード)と副交感神経(リラックス状態)という2つの神経のバランスによって成り立っています。
睡眠中、特に深い睡眠中(ノンレム)には、副交感神経(リラックス状態)の働きが亢進するため、主に成長ホルモンで前日の疲労や緊張もすっきりと解消されます。
副交感神経にしてみればきっちり任務を遂行したわけですから起床時にはすみやかに交感神経に仕事を引き継ぎ、きっちりスイッチが切り替わることで活発に働き始め、今度は「やる気モード」となるのです。
このスイッチのオンオフが大切で、必要に応じてうまく切り替えられない状態が長く続いてしまうと、自律神経の調節機能が変調をきたすために、あらゆる体の不調が生じてしまいます。
この体の不調を自律神経失調症といいます。
熟睡を得るための「寝返り」
では「熟睡」を得るためにはどうしたらよいのでしょう。
睡眠中の、本人の意志とは関係なく身体の機能調整してくれる自律神経(この場合副交感神経)は、身体を成長させる、体内組織を修復する、心身の疲労を回復させる、免疫力を高める、記憶を整理・定着させるといった仕事がありますが、仕事には労働環境や条件というものがあります。
それは、「寝返り」をうつことが重要なのです。
自分の子供の頃を思い出して下さい。
朝起きたら180度回転してたことがありませんでしたか?
お子さんの寝姿を見ていると、とにかくゴロゴロとあっち行ったりこっち行ったりと、起きているのではないかと思うほど…。
寝返りは自律神経の働きです
どうして寝ているのに「無意識に」寝返りをするのでしょう?不思議だと思いませんか?
寝返りのメカニズムについても、まだ全てが解明されたわけではありませんが少しずつわかってきています。
確かなことは、「無意識」とは本人の意志とは関係なく身体の機能調整をしてくれる自律神経の働きなので、寝返りをする事によって体の全ての調整が行われているといっても過言ではないのです。
睡眠中に処理しなければならない様々な仕事を助けるために、動くことによって血液やリンパ液、関節液などの循環を促しています。
覚醒時もそうですが、同じ姿勢を続けていると血流が悪くなって痛みが出たり、もぞもぞと動きたくなるものです。
睡眠中の寝返りが「体の休息であるレム睡眠中」に多いのも、同一姿勢を続けることによる血流不良を避けるためと考えられています。
そうした全ての事がスムーズに行われてこそ、私たちは熟睡したことになり、自由に寝返りが出来てこそ熟睡度は上がります。
スムーズな寝返りと「枕」
あなた自身の寝返りはいかがなものでしょう?
寝返りの度に目が覚めて、意識して腰を浮かせたり肩を持ち上げたりしていませんか?
うまく寝返りできてますか?
朝の起きがけから腰が痛むとか固まって起き上がれないといった症状、他に慢性疲労や肩こり・頭痛、下敷きになった手がしびれるといった事に困っていませんか?
本当の寝返りはころころと転がるように体の向きを変えることです。
何の抵抗もなく出来なければ、疲労もとれませんし熟睡もできません。
どうしてでしょうか?
つまり、本来なら誰だってスムーズに寝返りはできるものです。
それができないのは外的な要因もあるからです
答えは不適切な枕を使用している可能性が高いのです。
熟睡を成就させるためには、他にも光や体内時計、セロトニンという脳内ホルモンなど色々な事が考えられ、奥深いものですが、まず、枕という睡眠に不可欠な物理的条件を整えてみる。
これが基本中の基本です。
それでもダメなら次のステップを考えればよいのです。
しかし、適切な枕に替えれば、それだけで驚くほど症状が改善する確率が高くなるのは間違いありません。
企業様がつくる枕は、消費者の好みを重視しすぎており、付加価値先行のモノが多く見られます。
好みも大切ですが、重視しすぎも問題です。
好みや感触だけで選んだ枕も、体感できるのは寝付くまでの数十分間です。
寝入ってからの長い時間のほうが大切なのです。
枕選びは、好みより体格を念頭においていかなくてはいけないのですが、適切な枕さがしをするにあたり、もしかしたらお金がいくらあっても間に合わない可能性もあるのです。
むずかしい話はさておき、まず「こういう感じ」という基本をマスターしてからでも遅くはないと思います。
40年以上前から行われている座布団を使っての「マイ枕」づくり(下図)、これは究極の基本なのでオススメいたします。
※ご興味があれば引き続き「患者さんの行う自律神経失調症の整体」のページもご覧ください。