ストレスを全く感じないという方は要注意!
患者さんで、何がストレスになっているのか自身でわからない人がいます。
さらに不思議なことに、症状の重い患者さんほど「ストレスはありません」「ストレスは感じません」と断言する傾向があるのです。
これは、「感情の抑圧」というものが関係しています。
心の働きには「防衛機制」といって、心の安定を保ち精神的破綻を避けるための、いわば心の安全装置と言える意識的・無意識的な働きがあります。
ですからこの場合、とても強力な「防衛機制」が働いているため、ストレスによって生じた感情に気付くことがないのです。
私たちは、自分を見失ったり混乱状態になるのを避けるために、負の感情を極端に嫌います。
総称して苦痛・恥辱といった「心の緊張」に伴う感情を味わいたくない、周りの人に知られたくないと心が感じるため、最初のうちは不快な感情を「意識」から締め出します。
次第に「無意識」にそうするようになり、さらにそうしたことすら忘れてしまうようになるのです。これを「感情の抑圧」というのです。
喜怒哀楽という言葉があるように、これらはある状況に対する情動であり、人が人間らしく健康に生きるための健全な反応です。
善でも悪でもないのです。しかし「怒」、怒りについては昨今様子が変わりました。特に社会生活を営む上で毛嫌いされるようになったのです。怒りは自分に対するものも含まれます。
しかし怒りは増えるばかりです。
価値観の多様もありますが、あれはいけない・これもいけない・減点主義・~しなければならない・~あらねばならない、と自由度は奪われ縛りが多いのです。
これを全てまともに受けていたら、即大爆発ですね。
そうならないように、防衛機制のもと感情の抑圧が自動的に行われます。
ここで気をつけなければならないのが、抑え込んだ感情は何処かへ消え去ってしまうということではないということです。
人によって容量に違いはありますが、器があってそこに蓄積されていくのです。
ですから、突然溢れたり・溢れそうになったり・増えたり減ったりします。
心と体は一緒です。
なので容器から溢れそうな臨界点にある方は、心はまだ楽ですが、同時に体も抑え込んでますので、筋力の低下や体に対する感覚が鈍くなることがみられます。
すでに溢れている方は、不定愁訴といった、おらゆる体の不調や痛みとなって現れてくることがとても多いのです。
ここでは心の働きについて触れましたが、大事なのは「ストレス」はあるもので、それを認識することです。
対処法は「怒りは行動でしか解消できない」で触れていきます。